2025年9月30日、札幌市南区にある動物園「ノースサファリサッポロ」が20年の歴史に幕を下ろしました。
2005年の開園以来、“日本一危険な動物園”としてライオンへのエサやり体験などで注目を集め、延べ200万人以上が訪れた人気スポットでしたが、無許可開発や法令違反が問題となり、ついに閉園を迎えることとなりました。
ノースサファリサッポロ閉園の背景
ノースサファリサッポロは、市街化調整区域で無許可の建築を続け、行政指導を17回受けても改善せず拡張を続けてきました。その結果、都市計画法違反とされ、営業継続が困難に。
さらに、宿泊施設の建設にあたり札幌市などから受けた約6700万円の補助金返還問題も重くのしかかっています。
残された動物たちの行き先は?
最大の課題は、園内に残る約300頭以上の動物の移送先です。
札幌市の調査では、トラやライオン、ツキノワグマといった「特定動物」を含む猛獣が多く、国内の動物園は受け入れ余力が少ないのが現状。
専門家も「お金を払わなければ引き取り手が見つからない可能性がある」と指摘しており、移送は容易ではありません。
閉園に対する市民の声
- 「動物たちが幸せに暮らせる場所に行けるのか心配」
- 「透明性のある対応をしてほしい」
- 「寂しいけど、20年間ありがとうという気持ちです」
最終日には多くの家族連れが訪れ、別れを惜しむ姿が見られました。
動物福祉の視点から
ノースサファリサッポロの閉園は「残念」と同時に「避けられない結果」だったと感じています。
動物園は人間にとって学びや癒しの場ですが、法令遵守と動物福祉が両立して初めて成り立つものです。
トラやライオンなどの猛獣も、法律上は「愛護動物」に分類されます。犬や猫と同じように、最後まで責任を持って飼養しなければなりません。
特にリクガメなど長寿の動物もおり、数十年先まで飼育責任が続くケースもあります。動物たちの命は人間の都合で左右されるべきではなく、国・自治体・民間が連携して「終生飼養」を徹底する仕組みが必要だと思います。
今後の課題と展望
ノースサファリサッポロ閉園は、単なる一施設の問題ではありません。
全国的に「動物園の在り方」を問い直す出来事となりました。
特に以下の課題が浮き彫りになっています。
- 動物の適切な受け入れ先をどう確保するか
- 違法建築や無許可営業を防ぐ仕組み
- 動物福祉と観光事業の両立
今後は広域・国際的な連携も含めた動物移送の仕組み作りが急務となるでしょう。
まとめ
ノースサファリサッポロの閉園は、多くの人に衝撃と寂しさを与えました。
しかし、私たちが真剣に考えるべきは「動物たちのこれから」です。
残された命をどう守るのか、社会全体で議論し支えていく必要があります。
動物園は人間の楽しみだけでなく、動物の福祉を第一に考える存在であってほしいと心から願います。