2025年11月3日 読売新聞オンラインほか報道より引用・再構成
アマゾン火災、9月に急増する理由とは?
南米ブラジルを中心に広がる世界最大の熱帯雨林「アマゾン」で、毎年9月の乾期終盤に火災が急増していることがわかりました。
読売新聞の衛星データ分析によると、1日あたりの平均火災検知数は9月に約1,000件。最も少ない4月(約11件)の実に100倍に達しています。
原因の多くは、**違法伐採後に伐採木を乾燥させ、乾期の終わりに火を放つ“焼畑行為”**です。こうしてできた土地は、牧場や大豆畑として不法に転用されるケースが後を絶ちません。
「地球の肺」アマゾンが失われる速度
アマゾンは地球の二酸化炭素を大量に吸収することから「地球の肺」とも呼ばれています。
しかし、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、1990年以降の約30年間で約40万平方キロメートルの森林が失われました。これは日本の国土のほぼすべてに匹敵する規模です。
さらに、最近では干ばつや山火事が頻発。温暖化によるダメージが重なり、今世紀中に回復が不可能になるという試算も出ています。
日本の衛星「だいち2号」が違法伐採を監視
ブラジル政府は、違法伐採の監視に日本の人工衛星データを活用しています。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星「だいち2号」は、雲や天候の影響を受けずに地表の変化を観測可能。これにより、雨期でも監視が可能となり、摘発の精度が大幅に向上しました。
現地では、ブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)と国際協力機構(JICA)が連携し、ドローンを使った監視も強化しています。
ただし、伐採者たちは通信衛星網を利用して摘発情報を共有し、**摘発と違法行為が“いたちごっこ”**になっているのが現状です。
森林火災がもたらす“地球規模の連鎖”
アマゾンの火災はブラジルだけの問題ではありません。
世界気象機関(WMO)は、森林火災や干ばつの影響で大気中のCO₂濃度が過去最高を更新したと発表。
アマゾンの火災は、地球温暖化の加速要因の一つとして指摘されています。
2023年には、カナダ・ケベック州で過去最大規模の山火事が発生し、焼失面積は約1,800万ヘクタールに及びました。
国連環境計画(UNEP)は、こうした大規模火災のリスクが2050年までに30%増加すると警告しています。
アマゾン川の干ばつ、異常気象が生態系を直撃
2023年から続くエルニーニョ現象の影響で、アマゾン川流域では深刻な干ばつが発生しました。
ネグロ川では観測史上最低の水位を記録し、ピンクイルカとして知られる「アマゾンカワイルカ」も多数死亡。
川幅が半分に縮む地域もあり、気候変動が生態系を根底から揺るがしています。
COP30で問われる「地球規模の責任」
今年11月に開幕する**国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)**では、議長国ブラジルがアマゾン保護を主要議題として掲げています。
IBAMAの担当者は次のように語ります。
「違法伐採を根絶するには、アマゾンで暮らす人々が持続可能な経済活動で生きていける仕組みが必要だ。
COP30は、ブラジルと日本の協力を世界に示す絶好の機会になる。」
まとめ:アマゾンの未来は、私たちの未来
アマゾンの森林火災は、単なる“遠い国の環境問題”ではありません。
地球規模で進行する温暖化、異常気象、そして生態系の崩壊は、日本を含む全ての国に影響を与える現実の危機です。
私たち一人ひとりが環境問題に関心を持ち、サステナブルな選択を日常から取り入れることが、アマゾンを守る小さな一歩になるでしょう。


