コロナ禍で275億円赤字からV字回復を果たした“意外な理由”
コロナ禍で外食産業が壊滅的な打撃を受ける中、ロイヤルホストもまた例外ではありませんでした。
2020年度、ロイヤルホストを展開するロイヤルホールディングス(以下、ロイヤルHD)は最終赤字275億円という過去最大級の損失を計上。
一時は「高級ファミレス」という立ち位置が時代に合わなくなったのでは、という声も少なくありませんでした。
しかし現在、ロイヤルHDは見事なV字回復を遂げ、グループ全体の業績は堅調に推移しています。
なぜロイヤルホストは復活できたのか。その背景には、単なる景気回復では説明できない“構造的な変化”がありました。
ロイヤルホストの原点は「機内食」だった
ロイヤルHDの創業は1951年。
福岡空港での機内食事業と喫茶事業が原点です。創業者・江頭匡一氏は、米軍基地向けの指定商人として事業を拡大。その後、1971年に北九州市で「ロイヤルホスト」を開業しました。
当時はまだ、洋食は「特別な外食」。
価格が明確で、誰でも安心して入れるファミリーレストランという存在は革新的でした。
高価格帯ながらも品質を重視したロイヤルホストは、「ちょっといい外食」として支持を集め、全国に店舗網を広げていきます。
低価格競争に参入しなかったという“逆張り戦略”
1990年代以降、外食業界は激しい低価格競争に突入します。
すかいらーくが「ガスト」へと舵を切ったように、多くの企業が価格を下げ、効率化を進めました。
一方でロイヤルホストは、
- 店内調理の維持
- 安易な値下げをしない
- サービスと味の品質を守る
という選択をします。
結果として店舗数は減少しましたが、ブランド価値は毀損されなかった。
これが後の復活につながる、重要な布石となりました。
ロイヤルHDを支える「4つの事業ポートフォリオ」
現在のロイヤルHDは、以下の4事業を柱としています。
- 外食事業:ロイヤルホスト、天丼てんや、シェーキーズなど
- コントラクト事業:空港・高速道路・企業内レストラン運営
- ホテル事業:リッチモンドホテル(全国48施設)
- 食品事業:家庭用・業務用食品の製造販売
特に注目すべきは、
- 「質」を追求するロイヤルホスト
- 「量」を担う天丼てんや
という役割分担を明確にしたポートフォリオ経営です。
コロナ禍で275億円赤字…そこに現れた“救世主”
問題は、コロナ禍がこの4事業すべてを直撃したことでした。
外食・旅行・ホテル需要が一斉に消失し、2020年度は売上高が前年比約4割減。
自己資本比率も50%から20%へ急低下します。
この危機を救ったのが、総合商社・双日でした。
双日との資本業務提携が転機に
- 2021年2月:資本業務提携を締結
- 双日が178億円出資
- 双日はロイヤルHD株式19.97%を保有する筆頭株主に
これにより、財務体質が一気に改善。
さらに双日の持つ海外ネットワークや新規事業開発力が、ロイヤルHDの次の成長戦略を後押しします。
価格差縮小で再評価された「ロイヤルホストの価値」
コロナ後、外食業界全体で値上げが進みました。
その結果、ロイヤルホストの「割高感」は相対的に薄れ、
- どうせ外食するなら、ちゃんとしたものを
- 落ち着いた空間で、丁寧な料理を食べたい
という層から再び支持を集めています。
SNSでの話題化も追い風となり、「大人が通うファミレス」というポジションを確立しつつあります。
新規事業と海外展開で次の成長へ
ロイヤルHDと双日は、次の一手として新規事業にも取り組んでいます。
- コスタコーヒー(国内FC展開)
- ロイヤルホスト海外直営店(シンガポール1号店)
過去に中国撤退を経験したロイヤルHDですが、今回は双日と組むことで、慎重かつ戦略的に海外市場へ再挑戦しています。
まとめ:ロイヤルホスト復活の本当の理由
ロイヤルホストのV字回復は、
- コロナ収束による需要回復
だけでなく、 - 安易な値下げをしなかったブランド戦略
- 「質」と「量」を分けたポートフォリオ経営
- 双日との資本提携による財務・成長戦略の強化
といった長年積み重ねてきた経営判断の結果だと言えるでしょう。
個人的なひとこと
私は、数あるファミリーレストランの中でもロイヤルホストが一番好きです。
価格は決して安くありませんが、料理・接客・空間のバランスが取れた、貴重な存在だと思っています。
これからも「ちゃんとした外食」ができる場所として、ロイヤルホストにはぜひ頑張ってほしいですね。


