ネコの死因として長年トップに挙げられてきた腎臓病。
その常識を覆すかもしれない画期的な新薬が、いよいよ実用化目前となりました。
産経新聞の独自報道によると、ネコの腎臓病治療を目的とした新薬はすでに治験を終了。
2026年4月にも国へ承認申請が行われ、早ければ年内の実用化が視野に入っています。
多くの愛猫家が「待ち続けてきた希望の薬」と語る、この新薬とは一体どのようなものなのでしょうか。
ネコの腎臓病は“宿命の病”だった
ネコは年齢を重ねるにつれ、腎機能が低下しやすい動物です。
ペット保険大手・アニコムグループが公表した「家庭どうぶつ白書(令和5年)」によると、
- 0歳:腎臓系疾患による死亡率 約3%
- 5歳:27.1%
- 10歳:27.2%
- 15歳:29.2%
と、高齢になるほど腎臓病が死因の1位となっています。
これまでの治療は
「進行を遅らせる」「対症療法にとどまる」
というのが現実で、完治や回復は難しい病気とされてきました。
新薬の鍵は「AIM」というタンパク質
今回の新薬開発を主導しているのは、
AIM医学研究所(IAM) 所長で免疫学者の 宮﨑徹氏 です。
宮﨑氏は1999年、
血液中に存在するタンパク質 「AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)」 が
体内の老廃物(ごみ)を除去する働きを持つことを発見しました。
さらに研究を進める中で、
- ネコは先天的にAIMが正常に機能しない
- その結果、腎臓に老廃物が蓄積しやすく、腎臓病になりやすい
という重要な事実が明らかになりました。
AIMを補うことで腎臓病の進行を抑制
この発見から生まれたのが、
正常に機能するAIMを投与する腎臓病治療薬です。
治験では、腎臓病が4段階に分類されるうち、
重症に近い「ステージ3」のネコを対象に実施。
- 2週間おきにAIM薬を数回投与
- 通常なら数カ月で悪化するとされる症例でも
病状の進行が見られず、全身状態が改善
中には、治験前の臨床研究から5年以上元気に生存しているネコもいるといいます。
寄付で支えられた「みんなで作った薬」
この研究は、順風満帆ではありませんでした。
コロナ禍による資金難で研究が一時中断する危機もありましたが、
- 愛猫家からの寄付:約3億円
- 東大を辞してIAM設立
- 製薬ベンチャー「IAM CAT」を創業
- 台湾に製造拠点を確保
と、多くの支援と挑戦の積み重ねによって、
ついに実用化直前までたどり着きました。
宮﨑所長は
「みなさんと一緒に作ってきた薬。名前も一緒に考えたい」
と語り、現在販売名の公募も行われています。
実用化はいつ?今後のスケジュール
今後の流れは以下の通りです。
- 2026年3月:薬剤の安定性試験結果がまとまる見通し
- 2026年4月:農林水産省へ承認申請
- 早ければ2026年内:実用化の可能性
投与方法や薬価など、課題は残るものの、
「治療の選択肢が増える」こと自体が大きな前進といえるでしょう。
ネコ医療からヒト医療へ広がる可能性
このAIM研究は、ネコだけにとどまりません。
将来的にはヒトの腎臓病治療への応用も期待されています。
透析患者の負担軽減や、
「治せない病」とされてきた疾患への新たなアプローチとして、
医療全体に与える影響も非常に大きい研究です。
私自身も猫を飼っているため、今回の記事は他人事とは思えず、強く心を動かされました。
腎臓病は「いずれ来るかもしれない現実」として、多くの飼い主が不安を抱えながら日々を過ごしています。
だからこそ、治療の選択肢が広がる可能性が示されたことは、数字や研究成果以上に大きな意味を持つと感じました。
まとめ|ネコと飼い主に希望の光
腎臓病は、これまで多くのネコと飼い主を苦しめてきました。
それでも今回の新薬は、
- 科学的根拠に基づく治療
- 実際の治験で効果を確認
- 愛猫家と研究者が共に作り上げた薬
という点で、これまでにない希望を示しています。
年内の実用化が実現すれば、
1匹でも多くのネコが、
そして1人でも多くの飼い主が救われる未来につながるかもしれません。
■ 出典元
産経新聞
「<独自>ネコの腎臓病新薬、早ければ年内にも実用化へ 治験終了、4月には国に承認申請」
(2026年1月7日配信)


