近年、名古屋市でアルミ缶の持ち去り行為が急増しています。 金属価格の高騰により、2020年度にはわずか6件だった通報件数が、2024年度には152件(25倍以上)にまで増加。 さらに、市の推計では年間300トンが持ち去られ、その経済的影響は5000万円以上にものぼるとされています。
本記事では、ニュース報道をもとに
- なぜアルミ缶持ち去りが増えているのか?
- 市民が感じる不満と不安
- 生活困窮者がアルミ缶を集める理由
- 名古屋市が進める罰則付き条例案とは
- 専門家の意見と今後の解決策
これらをわかりやすくまとめます。
◆ アルミ缶持ち去りが急増した背景:金属価格が「3倍以上」に
名古屋市によると、ここ5年で金属の市況価格は3倍以上に高騰。 その結果、アルミ缶は1kgあたり200〜250円で取引され、持ち去りが「稼げる行為」になってしまいました。
通報件数の推移を見ると、問題の深刻化がはっきりわかります。
- 2020年度:6件
- 2024年度:152件
わずか数年で25倍以上です。
◆ 市民の不満:「出した資源が盗まれる」「騒音も迷惑」
資源ごみは、市が適切に回収することでリサイクル収入となり、市民サービスにも活用される大切な財源です。
しかし、持ち去りが増えることで、市民からはこうした声が上がっています。
「せっかく協力して分別して出したのに、個人の金もうけに使われるのは腹立つ」
「アルミ缶をつぶす音がうるさくて迷惑」
さらに、軽トラックで巡回する業者風の人が堂々と持ち去るケースもあり、市民が不安を感じることもあります。
◆ 市への経済的損失は5000万円以上
名古屋市による推計では、アルミ缶持ち去りによる影響額は年間5000万円以上。
もし持ち去られず市が回収できていれば、
- 環境事業の財源
- 市民サービス
- リサイクル推進
などに使えるはずの大切な収入です。
◆ 生活困窮者にとっては「貴重な収入源」になっている現実
しかしこの問題は、単純に「盗む側が悪い」で終わりません。
アルミ缶集めは、特にホームレスや生活困窮者にとって重要な収入源で、実際に現場ではこんな声が聞かれました。
「生活保護を受けるのは恥ずかしい。これで稼ぐしかない」
「路上生活で年金もない。アルミ缶が頼り」
厚生労働省の調査でも、ホームレスの働く手段として廃品回収が66.4%を占めていることがわかっています。
つまり、これは「生活困窮」と「資源管理」が複雑に絡みあった社会問題なのです。
◆ 名古屋市が条例案を提出へ:罰金は最大50万円
名古屋市は、持ち去りを禁じる罰則付き条例案を議会に提出予定です。
- 対象:アルミ缶を含む資源ごみの持ち去り
- 罰則:勧告・命令に従わない場合、50万円以下の罰金
- 施行時期:2026年4月を予定
ただし、市の担当者も「取り締まりだけでは限界がある」と認めています。
◆ 現場パトロールの実情:注意されても再び持ち去る人々
名古屋市では2023年からパトロールを開始。しかし、取材ではこんな場面が目立ちました。
- 注意された直後に、また同じ場所でアルミ缶を集める
- 袋いっぱいにして2500円分を持ち去るケースも
「罰金を払う余裕もない人」に罰則が効くのか? これも課題として浮かび上がっています。
◆ 専門家が指摘する「本質的な解決策」とは
東京都立大学名誉教授・岡部卓氏は、この問題を次のように分析しています。
- 持ち去りが市として容認できないのは当然
- しかし根本解決には「生活困窮者支援」が不可欠
- 居住支援・生活保護の利用促進・就労支援など多面的アプローチが必要
さらに、ヤフコメでもこんな提案が人気でした。
「市が持ち去りを禁止するより、彼らを“公式のアルミ缶回収パートナー”として委託すればいいのでは?」
つまり、取り締まりではなく「仕事としての資源回収」として取り込む案です。
◆ 筆者の視点:取り締まりだけでは続かない。共存型の制度が必要
アルミ缶の持ち去りは、
- 市の財源流出
- 市民のストレス
- 生活困窮者の収入源
これらが複雑に交わる問題で、どれか一方だけを守れば解決するものではありません。
持ち去り禁止の条例は必要。しかし、それだけでは問題は解決しない。
むしろ、
- 資源回収を仕事として委託する仕組み
- 生活困窮者が安心して支援を受けられる制度づくり
- 市民・行政・困窮者の三者のバランスをとる仕組み
この三つが揃って初めて、持続的な解決につながると考えます。
名古屋の問題が報じられていますが、実は 私が住んでいる広島でも資源ごみの持ち去りは頻繁に起きています。
実際に、私自身も
自分が出した資源ごみを持って行かれる瞬間を目撃したことがあります。
そのとき、正直に言うと恐怖心もあり、声をかけることができませんでした。
「見て見ぬふり」をするしかありませんでしたが、
自分の出した資源が勝手に持ち去られる光景は、何とも言えない不快感と無力感が残りました。
名古屋ほど大規模ではないものの、地方都市でも同様の出来事が起きていると実感しています。
◆ まとめ:アルミ缶持ち去り問題は「社会×環境×貧困」が重なる社会課題
本記事の要点をまとめると――
- 名古屋市では年間300トン・5000万円以上の持ち去りが発生
- 金属価格の高騰で通報件数は25倍に
- 市民は不満と不安を感じている
- しかし生活困窮者にとっては「生活の糧」でもある
- 名古屋市は罰則付き条例を2026年施行へ
- 専門家は「支援と就労機会の整備が重要」と指摘
この問題は、資源管理だけでなく、生活困窮者支援の視点も不可欠。 行政の取り締まりと福祉が同時に求められる、非常に現代的な社会課題と言えるでしょう。
この記事が、読者の皆さまの理解の一助となれば幸いです。
(引用元:メ〜テレ / 名古屋テレビ)


