銀行ATMに設置されている「現金用封筒」が、フリマサイトやオークションサイトで大量に転売されている問題が、SNSで大きな話題になっています。無料で提供されている封筒がいつの間にか“売り物”になり、ATMから姿を消しつつあるようです。
ATMの封筒が“消えた”? フリマサイトでは100枚単位で出品
FNNプライムオンラインによると、ゆうちょ銀行の封筒が40枚300円で出品されており、さらに150枚もの大量出品も確認されています。これらはいずれも「新品・未使用品」と記載され、すでに売り切れ状態でした。
さらに、人気ゲームキャラクターがデザインされた“コラボ封筒”は100枚4,700円という高値で出品されており、地方銀行の封筒190枚セットが数千円で販売されているケースもありました。
ゆうちょ銀行以外の封筒も出回っており、フリマサイト上には「銀行封筒セット」や「レアデザイン封筒」といった出品タイトルが並んでいます。
「封筒がないのはこれが原因?」SNSでも困惑と怒りの声
この事態にSNSでは、
「最近、ATMで封筒がなくて困った」
「転売のせいで無料サービスが消えそう」
「誰が買うの?何に使うの?」
といった声が多数投稿されています。
「一部の人のモラルの欠如で、みんなが不便になる」との意見も多く、X(旧Twitter)ではまとめサイトでも取り上げられました。
専門家「“売れる”とわかると模倣が広がる」
フリマアプリに詳しい成蹊大学の高橋暁子客員教授は、この現象について次のように指摘しています。
1人が売っているのを見ると、「これも売れるんだ」と思い、模倣が広がる。
サンプル品やホテルのアメニティを持ち帰って販売するケースと同様の心理が働いている可能性がある。
つまり、“無料でも売れるなら出品してみよう”という軽い気持ちが、社会的モラルの欠如につながっているというのです。
ゆうちょ銀行「転売は控えて」 対応を慎重に検討中
ゆうちょ銀行は、取材に対し以下のようにコメントしています。
封筒が通常よりも早く減るなどの状況から、大量の持ち去りが発生しているケースがあると認識しています。
封筒はお客さまの利便性を考慮し無料で提供しているものです。必要以上の持ち去りや転売行為は控えていただきたいと考えております。
また、今後については「必要な対応を慎重に検討している」としていますが、無料配布を続けながら防止策を講じるのは難しい面もあるようです。
筆者の体験:「本当に封筒がなかった」
私自身もつい最近、ATMで現金を下ろした際に封筒がなくて驚きました。以前はどのATMにも必ず置いてあったので、「封筒がない」状況に戸惑いました。まさか、無料で配布されている封筒が転売されているとは思いもしませんでした。
たった一部の人の行動が、利用者全体の不便や無料サービスの縮小につながってしまうのは、とても残念なことです。
無料サービスが消える未来を防ぐために
近年、SDGsや経費削減の観点から、銀行封筒を廃止する動きも進んでいます。
このままモラルのない持ち去りや転売が続けば、無料サービス自体がなくなってしまう可能性もあります。
私たち利用者ができるのは、「必要な分だけ使う」という当たり前の意識を持つこと。小さな行動が、社会全体の利便性を守ることにつながります。
まとめ|“無料のもの”こそ、みんなで守る意識を
- ATMの現金用封筒がフリマサイトで大量転売されている
- 中には100枚超え・数千円の高額出品も
- 専門家「模倣が広がる可能性」
- ゆうちょ銀行は「転売控えて」と注意喚起
- 利用者は“必要な分だけ使う”意識が大切
ATM封筒は、ちょっとした思いやりで支えられてきた「小さな公共サービス」。
この便利さを守るためにも、モラルある利用が求められるのでないでしょうか。