豊漁なのに「休漁」?函館の街に戸惑いの声
北海道・函館市では、まさかのスルメイカ漁の休漁措置が取られ、地元の漁師や市場関係者、観光客の間に大きな衝撃が広がっています。
これは水産庁が設定した2025年漁期の総漁獲可能量(TAC)を全国で超過したためで、全国一律の漁獲枠を守るために休漁が決定されました。
TAC超過による休漁は、全国でも初の異例措置となります。
「イカのまち」として知られる函館では、夏から秋にかけてのスルメイカが観光と地域経済の柱。
しかし、漁が好調になった矢先の休漁決定に、関係者からは戸惑いや怒りの声が相次いでいます。
「お客さんがかわいそう」活いか釣り堀も打撃
JR函館駅前にある観光名所「函館朝市」では、新鮮なイカをその場で釣って食べられる**「活いか釣り堀」**が人気。
ところが、卸業者からは「在庫はあと1〜2日分で終わる」との連絡が入りました。
店員の小野寺透さん(64)は、
「これを求めて来るお客さんがかわいそうだ。どうにか漁を続けてほしい」
とため息をつきます。
観光客の中には、ニュースを見て急いで訪れた人も多く、「今のうちに見ておかないと」とイカ釣りを楽しむ姿も見られました。
豊漁の裏にある「漁獲枠」という壁
実は、函館近海では今年の夏以降、ようやく不漁から豊漁に転じていたところでした。
しかし、全国での水揚げが好調すぎたため、10月時点で総漁獲量が5800トンを超過。
上限の4900トンを上回ったことで、北海道いか釣漁業協会が10月22日から休漁を決定しました。
水産庁は当初、漁獲枠を2800トンに設定していましたが、豊漁を受けて10月までに3回(700トンずつ)増枠。
ただし、公平性を保つため、枠の拡大は原則3回までと定められています。
函館市漁協は今後、枠のさらなる拡大を国に要請する方針です。
「誰が取りすぎた?」漁師たちの不満と現場の混乱
函館の漁師たちは突然の休漁に困惑しています。
ある漁師は怒りをにじませながらこう語ります。
「誰がとったんだ。なんで俺たちが割を食わなきゃいけないんだ」
実際、北海道の漁協では、まだ昨年の6割程度しか水揚げしていないという報告もあり、
全国一律の漁獲枠制度に見直しを求める声が高まっています。
函館市漁業協同組合の瀧川久市代表理事組合長は、
「漁師だけではなく、売る人・運ぶ人・燃料屋さん、すべての経済に影響している。
国も配慮して増枠を検討してほしい」
と訴えました。
スルメイカ休漁がもたらす経済と観光への影響
函館の小型船が水揚げするスルメイカは、地域全体の9割を占める重要な産業です。
特に「活イカ」は函館グルメの代名詞であり、飲食店や土産物店にも直撃。
「営業が止まる」「観光客が減る」といった不安が広がっています。
一方で、専門家からは「漁獲枠の設定が科学的に正しいのか再検証が必要」との声も上がっており、
今後の資源管理のあり方に注目が集まっています。
私の日常にもスルメイカは欠かせない
実は、スルメイカは私の日常の定番おつまみでもあります。
常に冷凍庫にストックしていて、炙ってマヨ醤油+七味で食べるのが最高。
香ばしい香りと独特のうま味が、疲れた日のご褒美なのです。
それだけに、今回の「休漁」はとても寂しく感じます。
一刻も早く再開され、漁師さんや観光業の方々、そしてイカ好きの私たちの笑顔が戻ることを願っています。
まとめ:持続可能な漁業と地域経済のバランスをどう取るか
今回のスルメイカ休漁は、「資源保護」と「地域経済」の狭間で揺れる難しい問題を浮き彫りにしました。
全国一律の漁獲枠制度を見直し、地域の実情に即した柔軟な運用が求められます。
函館の“イカの灯”を絶やさないためにも、行政と漁業者、そして私たち消費者が
持続可能な海の未来を考える時が来ているのかもしれません。


