「広島飛ばし」が止まらない? 若者流出全国最多の理由と、魅力ある都市へのヒント

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広島で進む若者流出と「広島飛ばし」現象。なぜ人気アーティストは広島を避けるのか?背景にある施設制限や都市の魅力不足、そして広島が再び“選ばれる街”になるためのヒントを探ります。

広島を素通りするアーティストたち――「広島飛ばし」とは?

近年、SNSでたびたび話題になる言葉があります。
それが「広島飛ばし」。

東京・大阪で公演を行った人気アーティストが、次の開催地を福岡などにして広島をスルーしてしまう現象のことです。
ファンの間では「推しが広島に来ない」「なんでいつも福岡なの?」という嘆きが広がっています。

しかし、この「広島飛ばし」は単なるエンタメの話題ではありません。
実は、広島の人口流出問題と深く関係しているのです。


若者の転出超過、全国ワースト――止まらない“人の流れ”

広島県は現在、転出超過が4年連続で全国最多という厳しい現実に直面しています。
特に10代~30代の若者が全体の8割を占めており、まさに「若者離れ」が深刻化しています。

広島文教大学の松原淳一講師(地域経済学)はこう語ります。

「広島飛ばしの改善が、県外の人が住みたくなるような都市の魅力アップにつながる」

実際、同大学が学生を対象に行ったアンケートでは、
「テーマパークやライブ公演が少ない」「遊ぶ場所がない」といった不満が多く挙がりました。

つまり、若者は“働く場所”だけでなく、“楽しむ場所”を求めて他県に流出しているのです。


広島が選ばれない理由:コンサート開催数の少なさ

2024年、全国で開かれたコンサートの回数は約3万4,000回。
そのうち広島はわずか691回にとどまり、
福岡(1,704回)や宮城(1,181回)と比べても大きく遅れをとっています。

なぜ、広島での公演が少ないのでしょうか?

その一因が、**広島グリーンアリーナ(県立総合体育館)**の運用制限です。
約1万人を収容できる大規模施設ながら、県の方針で「コンサート開催は年間開館日数の10%以内」と制限されています。

「本来はスポーツ利用を目的とした施設」と担当者は説明しますが、
松原講師は「多額の経済効果を逃している」と警鐘を鳴らします。

ライブが増えれば人が集まり、飲食・宿泊・交通が潤う。
都市の魅力が高まれば、若者が“帰りたくなる・住みたくなる街”へと変わる――
そんな好循環が今の広島には欠けているのです。


広島に住む人の声:「交通が不便」「遊ぶ場所がない」

実際に広島に住む人たちからも、こんな声が上がっています。

「若者が働きたい企業が少ない。本社で働きたい人は県外に出る」
「空港が遠くて不便。車がないと生活が成り立たない」
「お店やホテルばかりで、若者が集まる遊び場がない」

こうした“日常の不便さ”や“文化の物足りなさ”が、
若者たちを静かに広島から遠ざけているのかもしれません。


専門家が語る「広島が変わるためのヒント」

文京学院大学の濵田俊也教授(マーケティング)はこう指摘します。

「『広島飛ばし』はコンサートの問題だけではありません。
広島が“暮らすだけでなく、楽しめる街”になれていないことが根本にあります。」

濵田教授は、
「ライブやイベントを増やすことで街が賑わい、若者が“また来たい・住みたい”と思える雰囲気づくりが重要」
と語ります。

つまり、単に“箱”を増やすのではなく、
文化・音楽・人の交流が自然に生まれる街づくりこそが、広島再生のカギなのです。


県の動き:若者流出対策プロジェクトが始動

広島県もこの問題を重く見ています。
2024年4月、「若者減少・人手不足対策プロジェクトチーム」を設立し、
約3,000万円を投じて流出要因を調査しました。

結果として明らかになったのは、
「大阪圏(大阪・兵庫・京都・奈良)への転出が特に多い」こと、
そして「情報通信やサービス業など第3次産業の割合が低い」ことです。

つまり、働きたい仕事がなく、遊びたい場所もない。
これが広島から若者が去る二重の理由になっているのです。


【まとめ】“広島飛ばし”を終わらせるために必要なこと

「広島飛ばし」は、単なるイベント問題ではなく、
都市の魅力づくりと若者流出対策の象徴です。

  • コンサート開催の制限を見直す
  • 若者が楽しめる文化・エンタメの場を増やす
  • 交通アクセスを改善する
  • 働きたいと思える企業・職種を育てる

これらを実現できれば、
広島は「通過される街」から「選ばれる街」へと変わっていくはずです。

私自身、広島住んでいて身近な友人から「推しが広島に来ない」「ライブで毎回県外まで行ってる」と聞くことがあります。
文化や音楽の活気が都市の元気をつくるのだと改めて感じます。
子どもたちが成長して就職する年になり、広島県には仕事がなく仕方なく県外に出て行ってしまうのもとても悲しいです。

“広島がもっとワクワクできる街になるように”
地元の魅力を再発見する取り組みを、これからも応援していきたいと思います。