身近なカエルが、がん治療を変えるかもしれない
日本の田んぼや庭先でおなじみのニホンアマガエル。
その小さな体の中に、人類の医療を大きく前進させる可能性が秘められていることが明らかになりました。
2025年12月、ニホンアマガエルの腸内細菌から発見された細菌が、マウス実験で大腸がんを100%消失させたという研究成果が報告され、注目を集めています。
この研究は、腸内細菌とがん治療という新しい分野において、極めてインパクトのある内容です。
この研究は『Gut Microbes』誌(2025年12月10日付)に掲載されています。
研究のポイント|腫瘍だけを狙い撃つ細菌
研究チームが注目したのは、Ewingella americana(ユーインゲラ・アメリカーナ)という細菌です。
この細菌の最大の特徴は以下の点にあります。
- 低酸素環境を好む性質
- がん組織内部で爆発的に増殖
- 健康な臓器では自然に排除される
固形がんの内部は酸素が少ない「低酸素環境」になっていることが多く、従来の抗がん剤が効きにくい要因の一つとされてきました。
しかし、この細菌にとっては、まさに居心地の良い環境。
マウスに静脈注射すると、腫瘍内部で約3000倍に増殖した一方、健康な臓器からは24時間以内に消失したと報告されています。
マウス実験で「完全奏効」100%を達成
今回の研究で特に衝撃的なのが、その治療効果です。
- 標準的な化学療法:腫瘍は縮小するが消失せず
- 免疫チェックポイント阻害薬:完全消失は一部のみ
- E. americana投与:すべてのマウスで腫瘍が消失
医学的に「完全奏効(CR)」と呼ばれる状態を、100%の確率で再現したという結果は、既存治療と比較しても極めて高い数値です。
がんを直接攻撃+免疫を目覚めさせる二重効果
この細菌は、次の2つの仕組みでがんに作用すると考えられています。
- 細菌自身が腫瘍細胞を直接破壊
- 免疫システムに“異常信号”を送り、免疫細胞を活性化
通常、がん細胞は免疫から逃れる仕組みを持っていますが、細菌が腫瘍内で活動することで、免疫が「敵の存在」に気づくようになります。
その結果、体本来の免疫細胞が一斉にがん細胞を攻撃するという、自然免疫と治療の融合が起こるのです。
再発も防ぐ?免疫記憶の形成を確認
さらに注目すべきは、再発抑制効果です。
腫瘍が消失したマウスに、30日後に同じがん細胞を再移植しても、腫瘍は再び成長しませんでした。
これは、免疫細胞ががんの特徴を覚える**「免疫記憶」**が形成されたことを示しています。
一度倒したがんに対して、体が自ら防御できる状態が作られた可能性があるのです。
安全性は?細菌治療への不安にも一定の答え
「細菌を体に入れる治療」と聞くと、不安を感じる方も多いでしょう。
しかし今回の研究では、
- 健康な臓器への悪影響は確認されず
- 問題が起きた場合も抗生物質で除去可能
といった点が報告されています。
酸素のある環境では定着しにくいという性質が、安全性の高さにつながっていると考えられています。
今後の課題と期待|人への応用はこれから
もちろん、この研究はマウス実験段階であり、人間への応用にはさらなる検証が必要です。
- 人体での安全性
- 投与量の最適化
- 転移がんへの効果
など、越えるべきハードルは少なくありません。
それでも、自然界の生物が持つ力が、がん治療の新たな選択肢になり得ることを示した点で、今回の研究は大きな意味を持っています。
18年間カエルと暮らしてきた身としては、今回の研究は本当に胸が躍るニュースでした。
「ただ可愛い存在」だと思われがちなカエルが、
実は人類の未来を救うかもしれない力を秘めている――。
身近な生き物を知り、尊重することの大切さを、改めて考えさせられる研究だと感じています。
本記事は、以下の記事内容を要約・引用したものです。
引用元サイト:カラパイア
引用元記事タイトル:
「ニホンアマガエルの腸内細菌からがん治療細菌を発見、マウスのがん組織を完全に消失」
URL:https://karapaia.com
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